中村泰之 - vanity records
後追いで古雑誌を読み漁って当時の臨場感を疑似体験していた身からすると、ここまでまとまった情報は他にないくらい資料性価値が高いと感じた。また単なるアーカイブにとどまらず、レーベルの当事者の言葉やアーティストへのインタビュー。複数人でのレヴューなど。振り返りつつも現在の視点をもってVanity Recordsという事象へアプローチしていく姿勢は非常に有意義に感じた。
一方でエディトリアルデザインに対してネガティヴな印象であった。前述した通り、資料性が高く多少なり読み込む姿勢であるため、インターフェイスとして残念な箇所が目立った。rock magazineなどで阿木氏が見せたようなデザイン的秩序があれば、より魅力的なものになっていたように思える。
ただ、それを乗り越えても充実した内容であり、値段以上の価値があることは念押ししたい。
______ note______
[Published] きょうレコーズ, 2021
[Pages] 392
[ISBM] 978-4-86400-040-6