[Music] 戸高一生 – The Sounds Of The Wii

  


 戸高一生 – The Sounds Of The Wii

 

"ブートレグ [著作権を無視した非合法な製品]

ブートレグ製品が拡散されるようになった背景には
消費者の需要に対し制作側が発表しないことを発端とした製品の供給不足が原因しています。
そこには本来、正規品としては持ち込まれることのない第三者(非企画者)の主観が混在し、 非合法ならではの個性を生み出しています。"

-Le Coq Sportif ESSAY Collabotation Conceptより

 

ウェーブレース64、ヨッシーストーリー、ゼルダの伝説 夢をみる島、どうぶつの森シリーズといったNintendo作品のサウンドワークに深くかかわった戸高一生(とたかかつみ)によるNintendoが製造したコンソール機”Wii”のシステムサウンドが収録されている。

本作は、"コンソール機のシステムサウンド"というかなりニッチな切り口でリリースされた。そもそもリスニング目的に開発されていないものであるが、当時様々なサービス、ゲーム、インターフェースが導入され、かつファミリー層をターゲットにしたWiiにとってはサウンドでのデザインワークが非常な重要な役割を担っていたことが予想される。現在では大部分のサービスを終了しているが、改めて音楽のみで触れることで優れたサウンドワークを伺うことができる。

 

ビデオゲームのサウンドトラック市場に関する話になるが、すべてのパブリッシャーがサウンドトラックをフィジカルが出しているわけではないため、ビデオゲームにおけるサウンドトラックはしばしばコレクターやファンの悩みの種として扱われる。特にNintendoにかかわるもの権利管理が厳格で、そもそもの需要が高い中でリリースは限定的で旧譜の入手の難しさは最たるものである。

 

近年はコレクターアイテムとして数量限定でフィジカルをこだわってリリースされたり、権利を整理してリリースするしっかりとしたレーベルが出てきている一方で、Discogsなどのマーケットプレイスでのブートレグの取り締まりが厳しくったため、アンオフィシャルなリリースはDiscordやRedditといった場に深く潜りこんでしまったように思える。

 

序文にブートレッグを推奨するような引用をしてしまったが、本作が戸高氏、Nintendoの権利を侵している事実は変わらない。

ゲーム開発におけるNintendoのコーポレートポリシーが強く作用しているものだとは思うが、作品の楽しみ方が本編をプレイすることだけでなくなった近年、一介のゲーマーとしては関連作品への入手のしやすさをもうすこし検討してもらいたいと切に願うばかりである。

 

______ note______

[Label]   Not on Label(Bootleg)

[Recorded] 2021