Pixpil - Eastward
“再会が常に幸福とは限らない。だからといって、今引き返せば再会の可能性すら失われかねない。”
- 冷蔵庫
きめ細やかなドットによる郷愁をそそるポストアポカリプスは、 荒廃からくる無慈悲さよりも、 そこに暮らす人々の温かみや生命力を感じる。 またステージやシーンに合わせた情景的なアニメーションを用いた 演出的は白眉である。そこにいるキャラクターの必死さや、 料理のおいしさ、喜びなど手に取るように感じることができた。
その演出に対して最大限に寄与している点として、 丁寧なローカライズも見過ごすことはできない。 どこかキャッチーな言語感覚はキャラクターの輪郭は際立ち、 行き来する村や街の生活感はとても生き生きと描かれていた。 欲を言うと、この世界や人々の生活をもっと探索したり、 見続けていたいと感じた。
しかしながら、電車を主軸に各国を移動する設定だからなのか、 世界としてバラバラとしている印象であった(風土の違いということではなく)。それ自体は問題はないのだが、 プレアブルな街の風景がかなり近影に描かれていることもあり、 世界と各の街、 街の一角の縮尺や繋がりが分断されていた印象は否めない。
朽ちた文明の中、けなげに生きる人間と着実に近づく脅威の中で、超文明の再生と破壊の表裏として描かれる主人公。率直なところ、ストーリー自体はフレッシュなものというより、王道的、90'sJRPG的なものであった。最初のうちこそ食傷気味であったが、ポストRPG的かつRPGに対するメタ設定(大地の子)を用いていたこともあり、そこは納得することで折り合いをつけて最後まで進むことができたが、物語自体は失うことの脅迫観念や失意を推進力に進んでいく。かなりわかりやすいテーマの中で細かな点が説明不足だったり動機にかける場面を感じることは少なくなかった。
世界観やキャラクターは素晴らしい。だからこそもう少し別の角度でこの世界を見てみたいと思った。
______ note______
[Requirements] Steam/ PC: Ryzen7 3700X, GeForce RTX3070
[Playtime]: 24H
[Link] Steam Page